認知症の方の自宅環境づくり~安全と暮らしやすさのバランス~

みなさん、こんにちわ!

子供7人を育てる30代作業療法士の岩崎です。

今日は、認知症の方が自宅で安全に、
そして快適に過ごすための

環境づくりについてお話しします。

担当している入居者様のケースを元に、
具体的な工夫をご紹介しながら、
安全性と生活の質のバランスについて
一緒に考えていきましょう!

目次

▼入居者様の状況 

まずは、今回お話しする
入居者様の状況をご紹介します。

・認知症と診断されている
・短期記憶の低下がみられる
・昼夜逆転の生活リズム
・伝い歩きレベルの移動能力
・最近転倒を経験

この状況を聞いて、
まず頭に浮かんだのは
「対策が必要だな」
ということでした。 

でも、同時に考えたのが
「安全性を高めるだけでよいか?」
「住みやすさや部屋の雰囲気は?」
ということです。

安全性はもちろん大切。
でも、その人らしい暮らしを守ることも
同じくらい重要だと思うんです。

▼安全性と住みやすさのバランス

みなさんも経験があるかもしれませんが、
安全対策って時として
生活の質を下げてしまうことが
あるんです。

例えば、安全対策として
部屋中に手すりを設置したらどうでしょうか。

安全性は高いですが、見た目はどうでしょう?
「なんか嫌・・・」
そんな気持ち、よく分かります。

その為岩崎が大切にしているのは、
生活する時の動線
本人様の受け入れやすさなんです。

安全性は大事。
でも、それと同じくらい大切なのは、
その人らしい生活環境を守ること。

そのバランスを取るのが、
私たちリハ職の仕事だと思っています。

▼具体的な環境づくりのコツ

では、実際にどんな工夫をしたか
ご紹介します!

1. たちあっぷの設置

入居者様の歩行をサポートするために、
たちあっぷを設置しました。

でも、ここで大切なのが
入居者様の受け入れやすさなんです。

ただ機能性だけを考えるんじゃなく、

「嫌がっていないか」
「必要なところはどこか」

そんなことを考えながら選びました。

入居者様が
「これなら使ってもいいな」
と思えるデザインや
配置を探すのが重要です。

安全性を高めつつ、
生活の質を落とさない。

そのバランスを取るのが私たちの仕事なんです。

2. 既存の家具の活用

新しいものを入れるより、
今ある家具を上手に使うのがコツです。

タンスの位置を少し動かしたり、
中の物の配置を変えたり。

小さな変化で、大きな効果が出ることも多いんですよ。

3. トイレまでの動線づくり

トイレまでの動線を確認し、
必要な場所に支えになるものが
あるかチェックしました。

既存の手すりや家具を活用して、
安全に移動できるようにしています。

4. 玄関の安全対策

靴の脱ぎ履き用に市販の椅子を置きました。
特別な椅子じゃありません。
普段から使ってる椅子を使うことにしました。

立ち上がる時の支えについても、
入居者様が使いやすいと
感じる方法を一緒に探っていきます。

▼安全と受け入れやすさのバランス

ここで大切なのは、
安全性だけにならないこと。

入居者様が受け入れられる範囲を探りながら、
少しずつ環境を整えていく。

「安全のため」と言って、
入居者様の意思を無視した
環境を作っても、
かえって不安や混乱を招いてしまいます。

だから、一つひとつの変更について、
「これなら大丈夫?」
「違和感ない?」
と、入居者様の反応を見ながら進めていくんです。

▼科学的根拠:アプローチの裏付け

ちなみにここまでの内容には、
科学的な裏付けがあるんです。

2020年の研究[1]では、
認知症の方にとって
「なじみの環境」
がいかに重要かが示されています。

慣れ親しんだ環境は、
不安やストレスの軽減、
自立性の維持に役立つそうです。

だから岩崎は、新しいものを入れるより、
今あるものを活用する方法を
大切にしているんです。

▼安全と快適さのバランスを取るコツ

最後に、安全と快適さのバランスを
取るコツをまとめます。

1. 本人の好みを第一に

「安全のため」と押し付けるんじゃなく、
本人の好みや生活習慣を
尊重することが大切です。

2. 既存のものを活用

新しいものを入れるより、
今あるものを工夫して使う。

それが自然な環境づくりにつながります。

3. 必要最小限の対策

あれもこれもと対策を増やすより、
本当に必要な箇所を見極めること。

それが快適さを保つコツです。

4. デザイン性を重視

安全対策グッズも、
最近はデザイン性の高いものが
増えてきました。

見た目にもこだわる。
それが生活の質を保つ秘訣です。

5. 定期的な見直し

環境は固定されていません。

状態の変化に合わせて、
こまめに見直すこと。

それが長期的な安全と快適さに
つながります。

▼まとめ

認知症の方の自宅環境づくりで
大切なのは「その人らしさ」を保つこと。

安全性は絶対に必要です。
でも、それ以上に大切なのは、
住み慣れた環境での快適な暮らし。

小さな工夫の積み重ねで、
安全で快適な環境は作れます。

それでは、また!

参考文献:[1]  Førsund, L. H., et al. (2020). The experience of lived space in persons with dementia: a systematic meta-synthesis. BMC Geriatrics, 20(1), 1-19.

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