みなさんこんにちは!
子供7人を育てる30代フリーランスの作業療法士、岩崎です。
今日のテーマは
【重度認知症の方へのリハビリアプローチ】
です。
最近担当している入居者様の
リハビリについて、実践報告をします。
・認知症の方へのリハビリに悩んでいる
・具体的なアプローチ方法が知りたい
・科学的根拠のあるケア方法を学びたい
そんな方におすすめの内容です。
ぜひ最後までご覧ください!
▼入居者様の状況
まずは、今回お話しする入居者様の状況をご紹介します。
・重度の認知症
・移動は車いすで全介助が必要
・日常生活動作(ADL)も全介助
・リハビリ開始時の挨拶で、その日の調子が分かる
・良い日は「おはよう」と挨拶してくれる
・調子が悪い日は「痛いよ~」と痛みや不安を訴える
正直、最初は戸惑いました。
その日その時の気分や体調によって、
できることが大きく変わってしまうんです。
でも、この方なりのコミュニケーション方法を
見つけていく過程が、とても勉強になりました。
▼リハビリの内容
入居者様の状態に合わせて、こんなリハビリを実施しています。
1. 調子の良い日のアプローチ
・ボールを使ってキャッチボール
・足を使ったサッカー
・数を数えながら実施
2. 日常生活動作の練習
・整容動作:櫛を持った手で髪をとかす練習
・手洗いの動作練習
3. 調子の悪い日のアプローチ
・ベッド上での関節可動域運動
・体に触れられない時は、落ち着くのを待って「初めまして」の挨拶から始める
・好きなおやつの話をして、気分転換を図る
実はこれらのアプローチ、
ちゃんとした科学的根拠があるんです!
例えば、ボール遊びや足を使ったサッカーは、
「デュアルタスク訓練」という方法の一種。
認知機能と運動機能を同時に使うことで、
脳の活性化を促すんです。
また、数を数えながら運動するのもいいみたいです。
2019年の研究では、
計算しながらの運動が認知機能の改善に
効果があると報告されています[1]。
日常生活動作の練習も大切です。
2020年のレビュー論文では、
ADL訓練が認知症の方の
QOL向上につながることが示されています[2]。
▼リハビリの目標
このようなアプローチを通じて、
以下の3点を目指しています。
1. ADLの介助量を維持する
2. 穏やかに過ごせる時間を作る
3. 痛みにとらわれる時間を減らす
▼実践を通じて学んだこと
1. その日の状態を見極めることの重要性
リハビリを始める前の挨拶で、
その日の調子が分かるんです。
「おはよう」と返してくれれば良い兆候。
「痛いよ~」という訴えがあれば、
その日はより慎重なアプローチが必要になります。
2. 柔軟な対応の必要性
体に触れられない日もあれば、
ベッドから起き上がれない日もあります。
そんな時は、無理強いせず、
その日にできることを探っていく
アプローチが大切です。
3. コミュニケーションの工夫
調子の悪い日には、「初めまして」の
挨拶から始めるという
アプローチを取っています。
これは、その日の気分をリセットし、
新たな気持ちでコミュニケーションを
始める効果があるんです。
また、好きなおやつの話をすることで、
痛みや不安から注意をそらし、
穏やかな気持ちになってもらえることも。
4. 小さな成功体験の積み重ね
重度の認知症の方のリハビリでは、
大きな改善を期待するのは難しいかもしれません。
でも、その日1回でもボールをキャッチできた、
少しでも髪をとかすことができた、
という小さな成功体験を積み重ねていくことが、
QOLの維持・向上につながると考えています。
5. 痛みへの対応の重要性
「痛いよ~」という訴えは、単に身体的な痛みだけでなく、
不安や混乱といった心理的な苦痛を
表現している可能性もあります。
そのため、痛みの訴えに対しては、
身体面だけでなく、
心理面からのアプローチも重要なんです。
▼まとめ
重度の認知症の方へのリハビリテーションは、
確かに難しい挑戦です。
でも、日々の小さな成功体験を大切にし、
その方の状態に合わせた柔軟なアプローチを続けることで、
ADLの維持や穏やかな時間を
作り出すことができると信じています。
私たち専門職にできることは、
その方の可能性を信じ、
日々のケアを通じて、少しでも快適に過ごせる時間を
増やしていくことだと考えています。
みなさんも、認知症の方と関わる中で工夫していることや
悩んでいることがあれば、
ぜひコメントで教えてください。
一緒に学び、成長していけたら嬉しいです。
それではまた!
参考文献
[1] Suzuki T, et al. (2019). Effects of multicomponent exercise on cognitive function in older adults with amnestic mild cognitive impairment: a randomized controlled trial. BMC Neurol, 19(1), 237.
[2] Laver K, et al. (2020). Interventions to delay functional decline in people with dementia: a systematic review of systematic reviews. BMJ Open, 10(4), e033458.