排泄ケアの難しさ:尊厳を守る高齢者介護の実践

みなさん、こんにちは!
子供7人を育てる30代
フリーランスの作業療法士、岩崎です。

今日は、介護の現場で日々直面する難しい課題、
特に高齢者の排泄ケアに
ついてお話ししたいと思います。

最近、ある入居者様のケースで悩んでいて…
みなさんにも共有したいなと思いました。

目次

▼入居者様の状況 

今回お話しする
入居者様はこんな感じです。

・トイレでの排泄にこだわりがある
・6ヶ月前までは歩行器で歩けていた
・今は立ち上がりも支持物を使用しても介助が必要
・最近下痢が続いている
・間に合わず車いすが汚れてしまうことも
・自分のタイミングでトイレに行きたいという希望がある

この方の状況は、多くの高齢者が
直面する排泄の問題を象徴しています。

厚生労働省の調査によると、
65歳以上の高齢者の約4割が
排泄に関する悩みを抱えている
そうです。

▼岩崎が感じている課題

正直、このケースには頭を悩ませています。
主な課題はこんな感じです。

1. 自尊心の保護

トイレの失敗は自尊心の低下を招きます。
長年自立して生活してきた方にとって、
これは大きな問題です。

2. 身体機能の低下

年齢や整形疾患により、立ち座りが徐々に困難に。
これは自然なことですが、
受け入れるのは簡単ではありません。

3. 心身の相互作用

この方は気持ちが落ち込むと、
運動能力や活動機会が減る傾向が。
これが悪循環を生み出すことを心配しています。

しかし、これらの課題に取り組む際に最も大切なのは、
本人様の意思を尊重することです。

体の状況に合った排泄方法を
決めることだけが全てではありません。

本人が納得し、
理解し、
腑に落ちて、
満足していることが
何より重要なのです。

▼岩崎が実施している対策

これらの課題に対して、
こんな対策を試みています。

1. 筋力維持のための運動

現在の機能を維持できるよう、
適切な筋力強化運動を実施。

本人様の希望を聞きながら、
無理のない範囲で行っています。

2. 新しい立ち座り方法の提案

現在の身体機能に合わせた、
効率的で安全な方法を提案。

ただし、本人様が納得できない方法は
押し付けません。

3. ポータブルトイレの検討

トイレまでの移動が困難な場合の
代替案として提案。

ただし、本人様の意思を最優先し、
強制はしません。

4. 施設スタッフとの連携

現在の運動能力に合った
排泄方法について情報共有と相談。

本人様の希望も必ずスタッフ間で共有します。

5. 入居者様との対話

ご本人の希望を尊重しつつ、現状に合った方法を丁寧に説明。
「どうしたいですか?」
「何が一番楽ですか?」
と直接聞くことを大切にしています。

6. 柔軟な対応

無理せず、必要時に
すぐ対応できる体制づくりを心がけています。

本人様の気持ちの変化にも柔軟に対応します。

実は、私がこのように本人様の意思を大切にしているのには、
ちゃんとした理由があるんです。

▼実はこんな理由が

心理学に「自己決定理論」というものがあって、
これが私の実践を裏付けてくれているんです。

この理論によると、人には

「自分で決める力(自律性)」
「できるという感覚(有能感)」
「人とつながる感覚(関係性)」


という3つの欲求があって、
これらが満たされると
幸福感や健康が向上するそうです。

特に介護の現場で大切なのが
「自分で決める力」。

本人様の希望を聞いたり、
選択肢を提供したりするのは、
まさにこの力を尊重することなんです。

もちろん、安全面には十分気をつけますが、
できる限り本人様の意思を尊重することで、
幸福感や健康の向上につながる可能性があるんです。

この理論のおかげで、
岩崎の実践にも
自信が持てるようになりました。

みなさんも、日々の介護の中で
本人様の意思を尊重する場面があると思います。
そんな時、この理論のことを思い出してもらえると嬉しいです。

(興味のある方は「自己決定理論」でネット検索!)

▼現状の評価と今後の展望

正直なところ、これらの取り組みが
うまくいっているとは言い難い状況です。

排泄の問題は身体面だけでなく、
心理面、尊厳の問題とも深く結びついているため、
簡単には解決できません。

でも、この困難な状況から学んでいることもあります。

1. 個別性の重要性

一人ひとりの生活史、価値観、現在の身体状況を
十分に考慮したアプローチが不可欠。

2. 多職種連携の必要性

作業療法士だけでなく、
看護師、介護士、栄養士など、
様々な専門家の知見を
集結させることが重要。

3. 柔軟な発想

既存の方法にとらわれず、
新しい技術や道具の導入も含め、
柔軟な発想で問題解決に当たる必要があります。

4. 継続的な対話

入居者様との信頼関係を築き、
常に対話を続けることが、
最適な解決策を見出す鍵になります。

5. 本人の意思の尊重

専門家から見て不合理に思える方法でも、
本人の意思が最も重要です。

ただし、生命に関わる危険や
重大な事故につながる可能性が
ある場合は例外です。

▼今すぐ実践できるポイント

1. 本人の意思を最優先に

排泄方法を決める前に、
必ず本人の希望を聞く。

2. 体の状況と意思のバランス

体の状況に合った方法を提案しつつ、
本人の意思との折り合いを探ります。

3. 腑に落ちる説明を

新しい排泄方法を提案する際は、
なぜその方法が良いのか、丁寧に説明する。

4. 柔軟な対応を心がける

「これが正解」という
固定観念は捨て、柔軟な発想で対応。

5. 安全性の確保

本人の意思を尊重しつつも、
安全性は必ず確保。

6. 継続的な対話

定期的に本人の気持ちを確認し、
必要に応じて方法を見直す。

▼まとめ

排泄ケアの問題は、
介護の現場で日々直面する
最も難しい課題の一つです。

身体機能の維持・向上を
目指すリハビリテーションと、
尊厳を守るバランスを取ることは、
常に試行錯誤の連続です。

今回のケースでは、
まだ明確な解決策を見出せていません。

でも、この課題に真摯に向き合い、
入居者様の声に耳を傾け続けることで、
少しずつでも前進できると信じています。

介護の質を高めていくために、
私たちができることを
一緒に考えていけたらうれしいです。

それではまた!

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