転倒を繰り返す入居者様への転倒対策 – 自立と安全のバランスを求めて

みなさん、こんにちは。
変わる介護の作業療法士(子供7人を育てる15年目)岩崎です。

今日は、転倒を繰り返す入居者様への転倒対策について、実際の訪問内容をもとにお話しします。

高齢者の転倒は大きな問題であり、特に夜間のトイレ移動時の転倒リスクは高いものです。

今回は、入居者様の自立心を尊重しながら、いかに安全を確保するかという難しい課題に取り組んだ事例をご紹介します。

ちなみに今回の事例ではまだ答えは出ておらず、悩んでいます。
悩み、挑戦している途中経過として見てもらえたら嬉しいです。

目次

1. 入居者様の状況と課題

今回ご紹介する入居者様は、以下のような状況にあります。

・移動能力:車椅子移動
・立ち座り:支持物を使用し見守りが必要
・トイレ利用:頻繁(特に夜間のリスクが高い)

以前は歩いていらっしゃいましたが、
最近は加齢による体力低下も合わさり1人で立ち座りをするには難しい状況です。

入居者様の思い

「安全のためには人を呼ぶことが良いとは分かっているが、排泄したいタイミングでトイレに行きたい」
「自分でやりたい」
という希望聞かれています。

2. 包括的な転倒予防アプローチ

実践している対策

運動能力維持のための筋力強化練習や歩行器を用いた歩行練習を運動の中では行っています。
入居者様の気持ちのヒアリングを行い、安心と安全、自立の着地点を探るための対話を行っています。

また併行してポータブルトイレの導入提案も勧めています。

入居者様は、ポータブルトイレの必要性は理解していると話してくださいます。
しかし、トイレは自分のタイミングで行きたいという思いが強く、ポータブルトイレの存在は覚えておくと言う程度。

環境調整

転倒予防には適切な環境調整が不可欠です。
ポータブルトイレ位以外にも以下のような具体的な方法も検討はしていますが、まだお話できていません。

夜間の照明の工夫

・足元センサーライトの設置
トイレまでの経路に設置し、夜間の視認性を向上
・調光可能な常夜灯
眩しすぎず、かつ十分な明るさを確保

滑り止めマットの使用方法

 ベッドサイドや浴室前に適切なサイズのマットを設置

ベッドの高さの調整

  入居者様の身長に合わせて、座位から立ち上がりやすい高さに調整

転倒リスクのアセスメント

転倒リスクを適切に評価するために、
以下のような点に注意してアセスメントを行っています。

運動能力の評価

・バランス能力:静的・動的バランスの評価
・筋力:特に下肢筋力の評価

実際の生活場面を想定した評価

・入居者様の部屋で実際に動作を観察し、評価
・車椅子の停車位置を再評価し、最適な位置を確認
・トイレ動作全体(移動、衣服の上げ下げ、座位保持など)を通して評価

運動

下肢筋力の低下が目立つ入居者様に対して、以下のような簡単な運動を提案しています。

お尻上げ運動(ブリッジング)
・ベッド上で仰向けになり、膝を立てた状態からお尻を持ち上げる
・10回を1セットとし、1日2セット実施することを自主トレとして提案済み

足首の屈伸運動
・椅子に座った状態で、足首をゆっくりと上下に動かす
・各方向10回ずつ、1日1セット実施することを自主トレとして提案済み

これらの運動は、下肢筋力の維持・向上に効果的で、転倒予防に繋がります。

3. まとめと今後

入居者様の意思を尊重しつつ、安全を確保するため、以下の取り組みを継続していきます:

・継続的な観察と適切なタイミングでの提案
・施設スタッフとの情報共有
・専門職として運動能力の伝達と転倒予防の必要性を丁寧に説明
・体力や移乗能力の変化を感じた際の都度の提案
・必要に応じて本人様、家族様、ケアマネージャーとの会議開催

転倒予防は、入居者様の意思を尊重しながら、環境調整、適切なアセスメント、そして効果的な運動療法を組み合わせることで、転倒リスクを軽減できると考えています。

これからも入居者様一人ひとりに寄り添ったケアを提供していきたいと思います。

それではまた!

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