ホームページのリニューアルに伴い、「変わる介護」の代表理事、森さんへインタビューしていただきました!
介護への想い
インタビュイー:
過去のインタビューの記事を拝読して、お聞きしたいことがたくさん出てきました!よろしくお願いします。まず、ご自身のプロフィールやキャリアについて教えてください。
森さん:
現在は理学療法士(リハビリの専門職)として働いています。もともと18歳からホームヘルパー介護の職員をしていたことが原点になっています。
病院でリハビリするというより、介護の現場を起点に、リハビリ職として何ができるか考えられる/ケアできることが自分の強みですね。
インタビュイー:
18歳という若い年齢からこのお仕事を志されたときの気持ちを、現在も初志貫徹していると感じました。そもそも介護に対してどういった想いで志したのでしょうか?
森さん:
私の曽祖母は101歳まで生きていました。ずっと施設にいたのですが、長く元気でいられたのはスタッフさんのおかげだと思っています。
とても感謝していますし、自分もそういうことをしていきたいと思ったのがきっかけですね。
インタビュイー:
そこから理学療法士の資格を取得したとのことで、経緯や大きなきっかけを教えてください。
森さん:
志を持って、施設にいる高齢者のためになることをしたいと思っていました。
しかし、最初に働いた施設では作業的な介護で、1人1分でオムツ交換してくれるというような…。入浴も含め、時間内で作業していく形になっていました。
そんな介護を受けている人が幸せかと思ったとき、苦しそうだったんですよね。みんな苦しそうで、緊張して体もガチガチに固くなっていく様子を見て、自分は何のためにやっているんだろうと悩んだ時期がありました。
そして、同じ時期にリハビリの仕事を知り、介護はもっと面白くなると思い、目指し始めたのがきっかけです。
リハビリとは?「再適応」と「最適化」
インタビュイー:
機械的なものではなく、利用者の幸せまで考える介護を志している印象を受けました。では、森さんが考える「リハビリ」とは何でしょうか?
森さん:
私が考えるリハビリは「2つ」あります。
1つは本来の意味である「再適応」です。もう1つ、私ならではの言葉を加えると、「最適化」ですね。
インタビュイー:
言語化してみると、「再適応」は初めに戻る、でしょうか?
森さん:
そうですね。初めに戻り、再び適した形になるという意味です。
リハビリテーションの語源には、リ・ハビリテスという分け方があります。
(「リ=再び」、「ハビリテス=適した」)
たとえば、カメラマンやライターが脳梗塞により片手が使えなくなったとき、治せるものならどんどん治していきましょう。
ただ、治る限界があったとき、
- 片手でどうやってうまく写真を撮っていくか?
- どうやって言葉で伝えるか?
など、「再び適する(再適応)」状態にする概念がリハビリテーションです。
インタビュイー:
なるほど、前提ということですね。その上で、「最適化」も言語化していただけますか?
森さん:
たとえばリハビリをすることによって、先生は
- 硬くなった筋肉を伸ばしましょう
- 運動しましょう
と言ってくれるんです。
とはいえ、限界はあると。やりすぎて逆に傷めてしまう、やる気がなくなってしまうこともあります。
施設の中でも時間や職員に限りがあり、やりたいけどできない。でも、本人には何かやりたいことや望むことがある。
どうすればみんなが良い形で実現できるか考えるのが「最適化」です。
インタビュイー:
現場に18歳から入ったからこそ、「現実の中で一番最高を目指す」気持ちが体現されていると感じます。
森さん:
ありがとうございます。人によって違うので、利用者の中でも本人が力を持っている人もいれば、そうでない人もいます。家族が熱い人だったら、その家族を頼りにしようなど、その場や状況によって変わります。
たとえば、歩けるようになりたい利用者の話です。昔から行っている場所へ食事に行きたいと。では、車椅子の状態で、どうしたらその車に乗れるようになるのか。そこで、利用者さんに車や介護タクシーじゃダメだと言っていたんです。
その方にとって、1年に1回は行っている場所なので、従業員が覚えていると。車種も覚えてるので、そこから乗り降りしたいという話でした。
そこで、家族でも安全に乗り降りできるように考えましょうというのが「最適化」です。その方にとっては大事なことで、実現できると家族もうれしいんですよね。本人が喜んでいるなら、たとえ良くならないとしても、最後まで何かやっていきたいという価値は大事にしたいですね。
インタビュイー:
なるほど。たとえば、歩けるようになった先の目的は、「アセスメント」として詳しく伺われるのですか?
森さん:
そうですね。聞き取りは本人だけでなく、周りのスタッフさんにもします。
実際の現場では、リハビリのスタッフさんがいると、1人で乗り移りができるけれども、全介護になってしまう。そこのギャップって何なんだろうと。
たとえば、リハビリのスタッフは週1回で30分や60分入ります。生活の場面だと、1日に何回も乗り移りするなら、週1回のリハビリをするより、週7日の立ち座りをしっかりした方が絶対に良くなるんです。
なので、介護士や家族がどういう風に関わってるのかも把握して、そこも最適化(こうすると楽にできます)と提案していくんです。
「変わる介護」について
インタビュイー:
全体の環境を含めて考えられてるから、最終的なゴールも具体的になってくるんですね。「変わる介護」を創業した経緯ともつながるのでしょうか?
森さん:
そうですね。
インタビュイー:
あらためて、2015年に本事業を始めた経緯を教えてください。どういう想いで設立されたのでしょうか?
森さん:
自分の原体験があります。18歳の頃に専門学校へ通いながら、夜勤で介護の仕事をしていました。夜中に排泄ケアをしながら、足が硬まらないように働きながらリハビリをしていました。
インタビュイー:
すごい…。
森さん:
ほんの5分とか、排泄ケアにプラスアルファでやっていただけでしたが、それだけで拘縮が良くなったんです。そこで、介護の中でも「良くなるケア」ができるんだなと感じたんですよね。
その原体験があって、どうにか介護の人に伝えたい想いがありました。
インタビュイー:
介護の人にも伝えたいというのは、スタッフがそれを知らない事実や現実があるのでしょうか?
森さん:
そういう現実もありますね。
また、「自分は何のために介護をやってるのかな」と思っている、特に若いスタッフの方がすごく多いと感じています。自分が行っている介護を良くしようという想いや技術、知識があれば、良くなるケアは可能です。
それでお客様を幸せにできる、笑顔にできるのも、何かしらの形で伝えたいと思ったんですよね。
インタビュイー:
「変わる介護」という言葉には、どういう意味が込められているのでしょうか?
森さん:
後ろ向きを前向きにという意味もありますし、作業的なケアから良くしていく/幸せにしていくように変えたい想いを込めています。
インタビュイー:
マイナスからゼロを目指すのではなく、その先を見据えてしているように感じました。あらためて、法人としてどういう価値提供を利用者や取引先にしていきたいと考えていますか?
森さん:
まずは介護状態になったとき、治せる限界やリハビリを入れることで、良くなる可能性があるかもしれない。本人ができないと言ったことが、できるようになる可能性があると。
しかし、法人になると、介護保険の中だけでやるのは大変なんです。
介護保険の範疇でやっていると、事務作業や記録作業などに手が追われ、プラスアルファへのシフトができません。しかし、私たちはその保険を扱っておらず、第三者(外部)機関みたいな形ですよね。
外部だからこそ、純粋に知識や技術が提供できる。「変わる介護」では、自費リハビリという形で、保険外のリハビリ介護サービスを行っています。外部だからこそ、リハビリを30分、60分しっかりと提供できるのが、まず1つ。
もう1つは、「再適用」と「最適化」ですよね。
お客さまや利用者を良くするだけでなく、施設自体がリハビリを取り入れることで、介護が楽になる。介護スタッフさんのやりがいにもつながります。こういう風にやったら良くなるんだという可能性や楽しみを提示するきっかけになるんじゃないかなと。
インタビュイー:
何か変えたいなと思っていても内部でできないところを、第三者機関として価値提供することで、考え方や技術が知れるのは、大きなインパクトですよね。
森さん:
ありがとうございます。法人としての営業は正直苦手ですが、「変わる介護」や「良くなるケア」のことを発信したときに、共感して現場のスタッフさんが私たちを呼んでくれるんですよね。
お伺いしている施設も、お客さまから今度こっちの施設に移るから来てよって感じで…。どんな施設でも、やっぱり足りないところがあります。そこを「変わる介護」として教えに来てほしいと呼んでくれるんです。
インタビュイー:
「変わる介護」との出会いから、変わっていく関係者がいっぱいいるんだなって思いました。まずは、利用者をすぐ想起するんですけど、周りの家族や施設も巻き込んで変えていくと言えますね。
森さん:
そうですね。やっていることは小さいですが、徐々に広げて全体を大きく変えていける形につなげられたら良いなと思っています。
自費サービスと事業拡大
インタビュイー:
自費サービスの診療についても伺いたいです。自費だからこそ、主体的に利用者も関わってくれる。そして、介護に依存しなくなるのではないでしょうか?だから結果も出てくるのかなと。
森さん:
その通りで、主体性が出てきますね。本人や家族も想いが強いので、施設としてはそこに応えたいお客さまですね。ただ、応えられる限度があるので、外部サービスとして使っていただけるとすごく良いのかなと思います。
インタビュイー:
利用者がインフルエンサーとなって、何か周りの人を変えていくみたいなことを想像しました。
森さん:
施設で1人の方を訪問すると、だんだん広めてくださるんですよね。
インタビュイー:
きっと積極的な人が多いですよね。
森さん:
そうですね。口コミで広げてくれたり、実際に車いすだった人が歩けるようになったりするので。
インタビュイー:
インパクトがありますね!まさにリアルインフルエンサー(笑)。なんであの人歩けるようになってるの?って。ポジティブな空気が周りへ波及していくイメージですね。わくわくしてきます。
事業運営している理由についてもお聞きしたいです。展開している事業が、どのように広がっていけば良いと考えていますか?
森さん:
事業戦略的な話になりますが、リハビリテーションの最適応/最適化がある中で、調整しやすい場を作るのがすごく大事かなと思っています。
具体的には、特定施設(特別養護/有料老人ホーム)が、1つの軸ですね。介護士/看護師という人手があり、マネジメントされた生活の中で、どうすればリハビリを入れて良くなっていくのかが提供しやすい形になると思います。
また、親が介護状態になったときは、施設のお世話になることが出てくると思います。そのときに、自分の親が行っても安心できる施設を作っていきたい。サポートしていきたい気持ちが一番大きいですね。
インタビュイー:
究極は自分が入っても、パワーが落ちることなく、やりたいこともいっぱいできるのが良いですね。こういう場所があるんだったら、老後が楽しみになる。楽しみというか、少なくともネガティブではないと思える選択肢が出てくるとすごい嬉しいですよね。
森さん:
ありがとうございます、本当にそう思います。
うれしかった反応や反響
インタビュイー:
今までに、取引先や利用者からもらった、うれしかった反応や反響、言葉はありますか?
森さん:
90歳を超えて転倒して骨折。車椅子になってもう絶望的だという方がいましたね。2ヶ月後には杖をついて歩きながらタクシーへ乗り、一緒に寿司を食べに行きましたね。
インタビュイー:
お寿司の話が良いですね。ただ歩けるだけじゃなくて。
森さん:
ずっと「お寿司食べたい」と言っていて(笑)。まず歩けるようになりたい気持ちが強かったんですけど、ベースの筋力が良かったので、割とすぐ実現できたんですよね。
その後、今後はどうしたいですか?この施設の中を歩けて満足ですか?って話をしたら、「好きなときに、奥さんと一緒に食事に行きたい」と話す中で、最初に寿司が食べたいと。
インタビュイー:
良いですね。そうやって楽しさを見出せる人だから、治療もどんどん吸収されたのかもしれませんね。ちなみに、治ったからといって、何をして良いか分からない方には、どうやってケアしていますか?
森さん:
体は良くなったけども…みたいな方ですね。
インタビュイー:
そう、その先のニーズがない人はどうモチベートするのかなと。「変わる介護」の利用者は、最初からみんなポジティブといいますか、そういう方とのお付き合いが多いのでしょうか?
森さん:
そんなことないですよ。家族は熱があるんだけど、本人はまったく熱がない場合もあります。リハビリとしてはニーズがないけど、話したいって人も。単純に不満や愚痴を言いたいみたいな人もいますね(笑)。
インタビュイー:
コミュニケーション欲求はあるんですね。
森さん:
外部の人だから言える話も出てきます。施設の方や家族も知らない、本当の気持ちがわかるときもあるんです。それが、本人すらも把握していないニーズという可能性があるんですよね。
「もう私なんて車椅子だし、このまま寝たきりで死んでもいいわ」と言いながら、もし外に行けるんであれば…と考えていることもよくある話。食べ物の話が特に多いですね。あのお店の中華おこげが食べたいとポロっと言っていたのを、あとでご家族に話すと驚かれることもありました。
「車椅子でこういう風に介助すれば、実現できるかもしれないので、やってみませんか?」と提案ができます。家族が働いていたら難しいですし、もし時間をかければできる問題かもしれません。
最適化をどうしていくかという話になりますね。
インタビュイー:
日ごろ接している方たちには、言いにくいこともあるかもしれませんね。「変わる介護」ならではのコミュニケーションのとり方があるかと思います。利用者へのアプローチの仕方で大切にされてることはありますか。
森さん:
まずは、絶対に本人の要望は否定しないことです。否定したくなるときもありますが、受け入れる。どんな状態であったとしても歩きたいと言っていたら、「そうですね、歩きましょう」から始めます。ですが、現状はまず立てないですよね。
しっかり立つことを、日常の中で20回できるようにする。そこから一歩出せるようになったら、20回繰り返せるようにする。そうすれば、歩くことにつながるかもしれないというように。
要望を受け入れながら現状を伝え、具体的にどういうステップを踏んでいこうかを必ず落とし込む形でやっています。
インタビュイー:
すごくイメージが湧いてきました。過去のインタビューや現状のホームページから大きく変わったポイントや更新されたお考えがあれば、教えてください。
森さん:
今まではケアリハ検定やセミナー、発信が多かったのですが、これからは現場に落とし込みつつ、できたものを発信してく形にしようと考えています。
良くなるケアで介護の中にリハビリを落とし込みたい。利用者や法人を徹底的にサポートする方針がまず一歩かなと。
こうなった理由は、ケアリハ検定で学んだことを個人の主観で実践してしまうケースが続出してしまったからなんですよね。自分だけの想いでどんどんやってしまうので、過剰なリハビリになってしまうことも。落とし込み部分のサポートが充分にできなかったのが正直ありますね。
施設の中で、ロボットやICTをいれながらリハビリや機能訓練に取り込もうとする流れはあります。そのときに、リハビリ職がマネジメントに入り、現場のお客さまや家族、スタッフをしっかりサポートできる第三者機関としてサポートする法人でありたいと考えています。
そのための研修、自費サービス、イベントはどんどん実施していきたいですね。
インタビュイー:
お話を伺っていて、本当に現場主義を感じます。環境など現実的なところへの全方位的な配慮もありつつ、ホテルのコンシェルジュのように利用者の気持ちを1回受けとめて、そこで一番最高を目指す。バランスの良さを感じ、他の施設とはまったく異なる体験なのかなと想像できました。
求職者へのメッセージ
インタビュイー:
求職者へのメッセージを聞かせてもらえますか?どういう経験を積めて、どんな方に来てほしいかを教えてください。
森さん:
共感性のある方を求めています。相手の言ったことや望んでることをまずは受け止められる。それって優しさでも強さでもあるんですよね。
そして、前向きな方ですね。現実を受け入れながらも、少しでもプラスに転換できるのが大切です。
インタビュイー:
「変わる介護」で働くやりがいは、プラスまで持っていけるところでしょうか?
森さん:
プラスまで持っていけるところと、第三者機関であること。要するに、施設に属してない第三者だからできる支援。それが働く中で体感/価値提供できることは、すごく良い経験になるはずです。
私たちが想定する求職者は、理学療法士や作業療法士です。保険(点数)の中で、こういうリハビリをしましょうではなく、自費サービス/法人への研修/コンサルティングの提供を考えています。
そういう経験は、病院や施設に属してるとまず体験できません。キャリアの中で体験してほしいですね。
インタビュイー:
今まで働いてきた従業員の方から、
- こんな声をもらった
- こんな変わった(エピソード)
- 印象に残った言葉
などあれば教えてください。
森さん:
「知らない世界を知れた」という言葉をもらったことがあります。回復期病院で働いてた5年目の方の言葉です。
大手法人で教育研修もしっかりしてるところにいた方ですが、病院の中しか知らないと。そして、病院で良くしても退院した先で、半分ぐらいが悪くなってしまうケースが多くて「変わる介護」に来てくれました。
生活期に入り、自費サービスでお金をいただける価値があることが知れたと。半分以上が生活期になると良くならない(悪くなってしまう)中で、まだまだ元気に前向きにリハビリが入ることで、歩き続けられている。
週1回だとしても、入る価値があるんだと知れたことがすごく良かったですと。それが「知らない世界を知れた」ということですね。
インタビュイー:
本当に変わるんだという手応えや実感を得たんですね。
最後に伺いたいテーマですが、事業を通して世の中に提示したいビジョンを教えてください。また、「変わる介護」での活動を通して、社会にどんな価値をもたらしたいのでしょうか?
森さん:
私の中では、介護状態になったときの選択肢を渡したいと思ってます。
- 施設に入ったからこうなるんだ
- ここまでで終わっちゃうんだ
というところから、こういったこともできるんだよっていう希望や可能性の選択肢を渡してあげたい。お客さまだけでなく、法人や施設に関わるスタッフにも提供したい。
法人にはできない第三者機関として、色んなところに支援(サポート)ができるので、実現までを本気でサポートしたい。そこの選択肢や可能性というところを打ち出していきたいと考えています。
インタビュイー:
サードプレイスという言葉がありましたが、3つ目の選択肢として、こんなポジティブな前向きな志向があることを、私も伝えていきたいと思いました。
「ケアリハ」という4文字に込めた想いをぜひ教えてください。
森さん:
自分が18歳から経験してきたことをもっと発信しようと考えていました。「変わる介護」や「支えるケアからよくなるケア」だとふわっとしているので、より具体的に何をしようか考えたときに、ケアリハを作ろうと考えました。
具体的には、
- 介護に関わる方
- 家族
- スタッフ
が介護状態になったときです。
「最適応/最適化」というリハビリテーションの概念をもとに、その人らしくどうやって暮らしていくか、どう自立して主体的に生活できるかは、みんなで考えるところです。
コミュニケーションの仕方やモチベーションの上げ方などをどういう風にやっていくのか。障がいを負ったときに、どういうケアをすれば負担にならずに歩けるようになるのか。どういうことをすると、生活する中で楽に歩けるのか。
これらの基礎を、研修や現場でのレクチャーとしてやっていきます。
インタビュイー:
現場への落とし込みなんですね。
森さん:
そうです。学びを体系化した形のところですね。
インタビュイー:
2015年に開業されて、今年で9年目ですね。その中で培われ、どんどん更新されたノウハウというか、学びやご経験が生かされてるんでしょうか?
森さん:
どこまでリスクが少なく、かつ最適なケアでリハビリを提供できるかを具体的にまとめられること/発信できることが一番大きいかなと思っています。
2015年から発信してきて、勢いだけじゃダメな点もありました。どこまで安全に行動できるかの棲み分け。また、
- ここからはリハビリの専門職や医者に相談しましょう。
- ここまではケアスタッフさんでも安全に家族でもできるので、習得していきましょう
ということを教えられることが強みです。
そのまま施設でも提供できますし、ゆくゆくは「変わる介護」で働くスタッフも発信できるように育成/定着していくことで、施設へ広げられたらと思っています。
インタビュイー:
「変わる介護」を起点に、どんどん良いインフルエンサーが増えていくイメージですね。言葉にするとかんたんですが、リハビリのどこまでがOKでどこからが危ないなど、繊細な話を体系化されているので、それも価値ですよね。
森さん:
創業して現在に至る9年間があった中で、ここまでだったらスタッフに負担なく、かつ本人やスタッフ、家族も逆に良くなることが見出せました。
ケアリハ検定で理解しているかは分かりませんが、研修では必ず落とし込んで発信していきたい、伝えていきたいと思っています。
インタビュイー:
当初の「変わる介護」への思いを貫きながらも、さらに洗練されている、どんどんアップデートされている段階に関わらせてもらったんだなと理解できました。
余談ですが、熊本に住んでいる私の母は、股関節がもともと悪かったんですけど、鉄を入れて足の痛みがなくなったそうです。一人暮らしなんですけど、近所のスーパーやデパートに行くのもやっとで、バスで帰ってしまうほど体力がなくなっていたんですよね。
やっぱり生活期で落ち込むことが、リアルにあるんだなって。地方なので、「変わる介護」が行っているサービスがもっとメジャーになってほしいと思いました。
森さん:
私は、利用者の家族や若年層の方からの相談を受けていて、そことつながるかは分かりませんが、介護支援者のコンディショニングやサポートも、今後はしていきたいなと思っています。
もともとは介護状態になったときの話でしたが、今の話を聞くと、介護になる前の予防もすごい大事ですよね。かんたんにできることもあるので、発信できることもあると思います。
インタビュイー:
元気で感覚は若いのですが、体が弱って落ち込んでるなと思ったので、オンラインのサービスもいいですね。勝手にリハビリをされていたってとこに、森さんの全てが表れてるなと思って。
元に戻るだけでなく、さらに先をやりたいという事業の方向性にもつながっているし。ご自身の原体験として、「変わった!」という感動が大きかったのでは? 介護の合間に少しやっていただけで、こんなに変わったと。
森さん:
「理学療法士さんだからできるでしょ?」と言われることは今でもありますが、どうしたら皆さんの状態や介護スキルなどを上げられるかを考えていくことも大切ですね。
スタートは一緒なので、
- どうしたら本当に自分でやりたいリハビリを介護に落とし込めるのか
- 本人の希望を実現できるのか
を考えようというのは、両方の立場で話せるし、そういう人が作った事業所はやっぱり大事にしたいなと思いますね。
インタビュイー:
疑問に思ったのが、理学療法士の方がやれる範疇と、介護士の方がやれる範疇とどう分けられてるのでしょうか?
森さん:
リハビリの人は、その人を体の状態を良くする機能訓練ですね。骨折して金属入れた状態で、足をどのぐらい動かして良いかって、素人ではできないじゃないですか。
それを国家資格で、知識を持って体を動かしたり、生活でどのぐらい負担をかけて良いのか判断できる。判断できるようになれば、理学療法士や作業所の専門職になりますね。
一方で、介護士さんに関しては「生活支援」ですね。できなくなったところを手伝ったりとか。
インタビュイー:
生活の中での改善を目指すということですね。ありがとうございます。すごく学びになって、整理できました。
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