みなさんこんにちは!
変わる介護の岩崎です。
今日は、
言葉より“感情”を見る「そのまま受け取らない」コミュニケーション
についてをお話しします。
高次脳機能障害のある方と関わっていると、
・さっきまで普通に話していたのに、急にきつい言い方になる
・強い口調だったのに、数秒後にはケロッと笑っている
そんな場面に出会うことがあります。
前職でもそのような方に対してスタッフさんからは、
「自分、何か失礼なことを言ったんですかね…」
「この方、怒りっぽい性格なんでしょうか?」
と相談されることも少なくありませんでした。
今回はそんな場面で、
岩崎が大切にしている
「言葉をそのまま受け取らない」という視点を
共有したいと思います。
▼「怒っているように見える」のは性格の問題ではない
高次脳機能障害のある方の中には、
・感情のコントロールが難しくなる
・思ったことが、そのまま口から出てしまう
といった特徴が出ることがあります。
でも、その多くは性格ではなく
「病気の影響」で起こっているということを、
まず知っておくことが大事だと感じています。
だから岩崎は、「今の言葉=その人の本心」とは受け取らず、
「症状も影響して、ああいう言葉になったのかもしれない」
と、一歩引いた目で見るようにしています。
▼言葉より“感情”を見る
先に結論を書くと、岩崎が大事にしているのはこの2つです。
1.言葉をそのまま受け取らない
2.言葉の裏にある“感情”を見る
ここで言う「そのまま受け取らない」は、
理解を示さないという意味ではありません
口から出た言葉だけを事実として扱いすぎない
というスタンスです。
この人は、いまどんな気持ちなんだろう?
(不安・怖さ・寂しさ・恥ずかしさ…)
そこに目を向けることで、関わり方が少し変わってきます。
▼実践① 「3秒ルール」と軽いツッコミ
高次脳機能障害のある方の中には、
その瞬間は怒っているようでも
数秒後には、何事もなかったように
笑っているという方もいます。
昔の岩崎は、そのたびに心が振り回されていました。
いまは、心の中で勝手に
「3秒ルール」
と呼んでいるものを使っています。
・強い言葉が返ってきても、その瞬間に反応しない
・心の中で3秒数えて、表情や声のトーンをもう一度見る
・もう怒っていなさそうなら、そのまま流す
たったこれだけですが、
自分の気持ちの揺れ方が
だいぶ楽になりました。
もうひとつ、よく使うのが軽いツッコミ+笑顔です。
「あれ?昨日と言ってたことと違いますよ〜(笑)」
「先週はこう言ってましたよ〜。今日は新バージョンですね」
など、責めるのではなく、冗談っぽく返します。
ポイントは、
・表情はやわらかく
・「あなたが悪い」というニュアンスは出さない
・一緒に笑える空気をつくる
こと。
本当はそんな顔をさせたいわけじゃないのに、
病気の影響で強い言葉が
先に出てしまう方も多いと感じています。
だからこそ、こちらの返し方ひとつで、
関係性が変わっていくこともあります。
▼実践② 感情と事実を分けて聞く
ここからは、人事の仕事をしてきた中で
岩崎が特に大事だと思うポイントです。
人の話を聞くときは、
感情と事実を分けて考えるという視点が
とても役に立ちます。
「ムカついた」
「悲しい」
「嬉しい」など、
その瞬間に出ている感情は、
その人の“真実”です。
だからこそ、そこにはきちんと共感します。
「そんなふうに感じたんですね」
「それはショックでしたよね」
「それは嬉しいですね」
この「感情への共感」は、
高次脳機能障害の有無に関わらず、
とても大事です。
事実は、一旦保留する
一方で、注意したいのはこんな場面です。
「誰々にこう言われてムカついたんだよね」
このとき、
・共感したいのは「ムカついた」という感情
・気をつけたいのは「本当にそう言ったのか?」という事実の部分
です。
その場では、
・言われた言葉がそのままの表現だったのか
・そのときの体調や心の状態で、強く感じられたのか
までは分かりません。
ここで、
「それはひどいですね、その人が悪いですね」
と事実まで決めつけてしまうと、
後で自分が板挟みになったり、
職場の関係が悪くなったりします。
なので岩崎は、よくこんな風に捉えます。
「それが事実かどうかは一旦置いておいて、
あなたはその時、そう感じたんですね」
・感情には共感する
・事実は断定せず、一旦保留する
このバランスを持つことで、自分自身も守られる感覚があります。
▼病気の有無に関わらず、大事にしたいスタンス
ここまで、高次脳機能障害のある方を
例にお話ししましたが、
正直、この考え方は
病気がある・ないに関わらず
全てのコミュニケーションに
共通するものだと思っています。
人は誰でも、
・疲れているとき
・不安が強いとき
・焦っているとき
には、本心とは少し違う言葉が
出ることがあります。
だからこそ、言葉だけで
「この人はこういう人だ」
と決めつけない背景にある感情を想像してみる。
そんなスタンスが、現場ではとても大切だと感じています。
▼一人で抱え込まない、「話せる場」がある安心感
とはいえ、どれだけ意識していても、
しんどくなる日もあります。
そんなとき、一番大事なのは、
一人で抱え込まないことだと思っています。
訪問から戻ったあとに
「今日こういうことがあって」と話せる
「あ、それあるある!」と共感してもらえる
「こう返してみたら?」と一緒に考えてくれる仲間がいる
そんなチームがあるだけで、
支援者の心はかなり守られます。
変わる介護では、
利用者様の言動を「症状」としても理解しようとすること、
スタッフ自身の感情も大切にすること。
チームで悩みをシェアしながら
成長していくことを大事にしています。
▼まとめ
最後に、簡単にまとめます。
・言葉をそのまま受け取らず、まず“感情”を見る
・感情にはしっかり共感し、事実は一旦保留する
・3秒ルールや軽いツッコミで、自分の心と場の空気を守る
変わる介護として、一緒に働きたいのは、
言葉だけでなく、
その人の感情ごと受け止めようとしてくれる人
自分のしんどさも「しんどいです」と
言葉にできる人そんな方です。
言葉より“感情”を見る。
そのうえで、
「そのまま受け取らない」
技術を伝えていきます。
それではまた!

